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ギフテッド感満載の娘ネネ、息子トキとの予測不能な日常


by キムラ
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ギフテッドの低達成に思う事(弟の話、再び)

以前、低達成になったギフテッドと思われる私の弟の話を書いた。

彼の感情面の激しさや家庭暴力の話は置いておいて、彼の学習面において、私は一番身近で弟を見て育ってきて、ずっと思っていた事がある。

それは「勿体ない」という事だ。

弟は、ずーっと劣等生だった。小学生の頃はテストを受ければ10点、20点ばかりだし、成績表(あゆみ)には「もう少し」がずらりと並ぶ。

でも、弟は決して能力が低かった訳ではない。むしろ、医者から「とても頭の良い子だから上手に育てなさい。」と言われたくらいだ。私は小さい頃、弟を側で見ていて、頭はいいはずなのに、なんでこんなに勉強が出来ないんだろうと不思議に思っていた。

結局のところ、母のサポートが非常に悪かったのだろうと思っている。前回の記事にも書いたが、母は常に型破りの受け答えしかしない弟に勉強させる事が苦痛で投げ出してしまったのだ。「あの子には、どうやって勉強を教えれば良いか分からない。」と言っていた。

勉強の教え方が下手なだけでなく、母は子供をやる気にさせるのも非常に下手だった。人を褒めるのが苦手な性格だから、勉強させるにも、子供をうまく乗せて自主性を促したり、モチベーションを高めるような事はなく、とにかく上から脅すような形で勉強を強要していた。

学習態度が消極的だったり、嫌々な素振りを見せる子供に対しては、励ますのでなく「そんなにやる気がないなら、もう勉強やらなくていい!!もう今後一切やらなくていい!もう母さん、あんたがどうなろうと知らないから!」と怒り狂い、バッサリ切り捨てる態度を取る。私はそれ対して「ごめんなさい。ごめんなさい。これからはちゃんとやりますから、見捨てないで下さい。」と泣いてすがる子供で、母の期待通りの反応を示す子供だった。

一方、弟は、母がそう言おうものなら「母さん。その言葉、よーく覚えといて。僕は自分から勉強やる気ないとも勉強やらないとも一言も言ってない。「勉強やらなくていい。」と言ったのは母さんだから、その言葉に責任持ってよ。今後、僕が一切勉強しなくなっても、そうしろと言ったのは母さんだからな。母さんの命令に従うんだからな。それで勉強してないからって、絶対に怒るなよ!」と啖呵を切って一切勉強しなくなった。

母はぐうの音も出なかったのだ。


前回の記事でも書いたが、そんな弟が中学の時、あまりの低成績で進路が危うくなったので、私は弟を励ましてみる事にした。普段、ケンカばかりの私達だが、「勉強分からなかったら教えてあげるよ。」と協力的な姿勢を見せて、「頑張れば、憧れの高校にいける」という前向きな目標を示し、そこに到達するためのプランも提示してみた。
すると、弟はやる気になったのだ。いつも見放されてきた自分の成績に「あんたなら頑張れば絶対出来るよ。記憶力、いいもん。」と期待してくれる相手が初めて現れた事も嬉しかったのだと思う。

そうして、少し努力すれば中間、期末試験で80点、90点を取れたのだ。

やっぱり、この子、ちゃんとやれば出来るんだ。と思った。誰一人、弟に期待して励ます人がいなかったから、今までずっとやる気にならなかっただけだ。「勉強しろ。」と言ってだめなら、勉強する為の動機付けをしてあげれば良いんだ。意外と、単純な事じゃないか。少し、彼に寄り添えば、こんなに意欲的に取り組めるようになるんじゃないか。何故今まで誰も弟に対してこのように働き掛けてやらなかったのか、と可哀想にも思った。

私は一緒になって、弟の高得点を喜んだ。
「俺、実はやれば出来る。」と気付いた弟は、その後私の励ましもあって、二、三度の定期試験を頑張っていたが、ある日プツッと糸が切れたみたいに「やっぱり志望高に行けるまで内申上げるのは無理そう。」と勉強をやめた。

恐らくここで、彼の気掛かりを解消して、励ませば、また頑張れたんだろうと思う。でも、これ以上は、姉である私の役目ではないと思った。私と弟の関係は常に良い訳ではないし、私に出来る事はここまでだったと思い「あっそう。勿体ないね。」と言ってあっさり引き下がった。だって、本来子供が頑張れるよう励ます事は、親の役目だと思っていたから。当の親は、その役目も努力も放棄している。

この時、せっかくこんなに弟がやる気になったのに、なぜこのチャンスに弟をもっとフォローしてやらないのか、と母には腹立たしく思ったりもしていた。


思い返せば、学校の成績が悪かった小学生時代だって、弟の好奇心や探究心はとても強かったのだ。

小1の頃、愛読書が「水生生物」の図鑑だった弟は、川や池に出掛けては様々な生物を捕獲してきた。アメンボ、メダカ、オタマジャクシ、カエル、イモリ、カニ、ザリガニ、ゲンゴロウ…。もうあまり、思い出せないけど、沢山の生物を捕獲して、飼育していた。そして図鑑もボロボロになるまで読み込んでいた。しかし、こんな彼の興味関心を伸ばしていこうという母のサポートは見られなかったな。

うちの母がさかなクンのお母さんみたいだったら、また弟の成長も違ってたんじゃなかろうかと思わずにいられない。


今の弟が、自分の人生に不満を感じているかは分からない。でも、私は「ちょっと、勿体なかったよね。」と思ってしまう。


親が子供に適切な学習環境を与える事や、本人の興味関心を伸ばしていく方向に導く事は非常に大切だと思った。いくら生まれ持った能力があっても、それを子供一人の力で伸ばしていくのは難しい。私は弟を見ていてそれを痛感し、いくら母にそう言っても、「あの子は私の言う事なんか聞かないから!」と全て弟のせいにして、「私は悪くない。一生懸命やってきた。」と常に自己弁護ばかりの母は、結局何も変わらなかった。

昨年、ギフテッドの概念を知り、ギフテッドの低達成の記述を読んだ時、弟は、モロそれに当てはまるな、と思った。確かに彼のニーズを満たす事は並大抵ではなく、母は母なりに一生懸命だったのかもしれない。そうだったと分かってもなお、あのやり方は決して良くなかったと思う。

また、問題は母だけでなく、父にもある。最近では子育てに積極的なお父さんの話もよく聞くけど、あの時代だから?どうしてこうも父は私達子供に無関心だったんだろうかと思う。もちろん父が働いてくれたお陰で、私達は衣食住に困らず、大学まで出してもらえた事には心から感謝してる。でも、親子としての結び付きは明らかに希薄だった。

先日、電話で父と話す機会があったから、弟の小学生時代の話をしてみたが「そうだったっけ?」「そんな事あったっけ?」と何一つ覚えてなかった。
どれだけ私達に無関心だったのかと悲しくなったよ。
働いて、お給料入れて、それが父親の役目という時代だったのかな。

まあ、それ以上は考えない事にした。

我が家はそれほどにも父からの関与がなかったので、母が絶対的な養育者だった。母は娘である私には絶対服従を、息子である弟には勉強面は放置、生活面は過保護の甘やかしを、という両極端な養育をして、その結果は両方とも非常に残念なものになったと私は思っている。どうしても母を反面教師として見てしまう。

うちの子達も、弟の様な育てにくい部類の子供達だけど、私が弟の人生から学んだ事は多いので、うちの母よりは上手くやれるかもしれない。まだまだ全てが手探りだけど。

子供達が大きくなった時「勿体なかった」と思われるような人生を歩んで欲しくはない。別に良い成績や何か大きな功績を残して欲しい訳じゃない。とにかく、思う存分にその一度きりの人生を謳歌してもらいたい。その為の智慧を少しずつ身に付けながら。

その為に私に何が出来るのかをいつも考えている。

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by nenetoki75 | 2019-02-04 21:58 | ぼやき・つぶやき・雑談